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憧れの海外生活を楽しんでみたい、毎日の生活に刺激がほしいなど、はっきりした目的がないまま留学しようとする人がいます。留学をすれば英語が身につきそう、何かやりたいことが見つかりそう、と考えているかもしれません。
しかし、目的もなく留学すると、何の成果も得られず、成長もしないまま帰国することになりかねません。よくある留学の目的として、英語力の向上、キャリアアップやスキルアップ、自分を試すなどがあります。留学を就活に活かしたいと考えている人もいるでしょう。
留学する際は、小さくても良いので何かひとつ目的を持って留学することをおすすめします。有意義な留学のために、目的や目標を設定することの重要性をお伝えします。
日本企業であっても、社内公用語を英語と定めている企業がある時代です。そうした企業では、会議や社内資料はもちろん、社内メールや日常のコミュニケーションなどのすべてが英語になります。
今や国際競争力を高めていかなければ企業の生き残りは困難であり、社員の英語のスキルは必要不可欠となっています。しかし、残念ながら日本の学校教育の英語は、未だに企業で戦力として通用するレベルに達していません。ビジネスで使える英語力を養うためには、学校以外で実践的な英語を学ぶか、留学して生きた英語を身につけるしかないのが現状です。
留学の目的で最も多いのが英語力の向上です。英語力向上といっても、ネイティブのように話せるようになりたい、リスニングができるようになりたい、TOEICやTOEFL対策をしたいなど、さまざまなレベルや目標があります。
英語力を向上させるには、英語の環境に身をおくのが一番だと思っている人は多いようです。英語しかない環境に身を置けば、必要に迫られて、否応なく英語を使うしかありません。確かに、英語漬けの日々を送れば英語馴れして、英語に怖じることはなくなるでしょう。日常会話や、友達同士での気軽な会話は問題なくできるようになるかもしれません。
しかし、留学したからといって、必ずしも英語力が向上するものではないことも事実です。TOEICやTOEFLで高得点を取る英語力や、ビジネスでネイティブと対等に渡り合える英語力は、英語環境に身を置くだけでは得られません。日本人留学生が多い学校や地区に留学して、日本人とばかり接しているうちに、ほとんど英語が身につかずに帰国する人は少なくないのです。留学先にもさまざまな誘惑があります。
留学先で漫然と過ごしてしまうとそれなりの結果しか得られません。英語力を向上させるために留学するのであれば、明確な目標を設定し、強い意志を持ちながら目標達成のために努力していくことが大切です。
英語は世界の共通語といわれるだけに、あらゆる国の人が使う言語であり、コミュニケーションツールです。英語を母国語としない人たちの英語は必ずしも正しい使い方や発音ではない場合があります。英語が母国語であっても、国や地域によって独特の言い回しや発音、訛もあるのです。
また、若者言葉や流行り言葉もあって、英語は日々変化しています。日本の教科書英語をマスターしても、円滑なコミュニケーションがはかれなかったりします。
国際社会ではさまざまな国の人がそれぞれの英語でコミュニケーションしています。留学先でいろいろな英語に触れておけば、聞きなれない英語に遭遇しても驚いたり焦ったりしなくなります。留学することで、鮮度の良い、生きた英語を身につけることもできるでしょう。
海外ドラマや映画、インターネットから発信される欧米のライフスタイルはカッコよく見えます。日本にはない広々とした居住空間や異国情緒溢れる景色の中で暮らしてみたい、リゾート地でのんびりしたいと憧れている人もいるでしょう。
憧れの国に留学すると、その国の言葉や文化を深く学びたくなり、勉強のモチベーションアップが期待できます。
留学で初めて海外を体験する場合、最初は日本や日本人との違いに驚くことが多いでしょう。日本の常識が世界の非常識であることも多々あります。行動様式や考え方、国民性に戸惑ったら、その国の歴史や背景に思いを寄せてみることです。留学は海外の文化や習慣、国民性などを深く知る良いきっかけになります。日本との違いを認識し、理解を深めていくことは、留学生活においてだけでなく、グローバルな人材になるためにも大事なことです。
外国から日本を見ることで、自国を客観視できるようにもなります。日本にいるときには気づかなかった、当たり前のことが他国にはない日本の良さだったりします。日本について聞かれる機会も多いでしょう。その際に、上手く説明できなかったり、知らなかったりしたら、日本のことも勉強し直したくなるでしょう。
留学は外国への理解を深めるだけでなく、日本への理解を深めるきっかけにもなるのです。
ホームステイで現地の家族と生活を共にすると、異文化体験ができるだけでなく、ホストファミリーとの間に国境を越えた絆が生まれます。留学を終えても生涯の友としての付き合いが続くことが少なくありません。国境を越えた友情が育まれるのも、留学の醍醐味です。
留学のメリットは英語力アップだけではありません。留学によって視野が広がり、国際感覚が身についていきます。留学で価値観や人生観が変わる経験をする人は多いのです。
忙しい毎日を送っていると、自分がすり減っていくような気持ちになってしまいます。人生の目的や学ぶ意味、働く意味を見失うこともあるでしょう。
同じことが繰り返される毎日に嫌気がさし、生活に変化や刺激が欲しくて留学をする人もいます。留学は、リフレッシュや気分転換ができる良い機会です。費用や諸事情により長期留学が難しい場合は、1週間程度でできる短期留学もあります。
短期であれば、長期の休暇が取りづらい社会人でも、退職や休職せずに留学することができます。実際に年末年始や夏季休暇、有給休暇を利用してリフレッシュ留学する社会人は少なくありません。
転職が決まって、次の会社に入社するまでの間を留学期間に充てる人もいます。短い期間でも満足できる、充実したカリキュラムやコースを用意している学校や教育機関があります。期間は1週間~1カ月、滞在先も寮やホームステイなどさまざまです。
留学先では、学校や職場にいる人とは国や文化が違う人たちと過ごすことになります。それまでニュースやインターネットで見たり聞いたりした遠い国の話が、クラスメートやルームメートの口から語られると一気に身近に感じられるでしょう。日本より厳しい環境の中で、たくましく生き抜いている同世代の留学生たちとの交流は、自分を見つめ直すきっかけになるはずです。それまでの価値観や人生観が変わるかもしれません。
さまざまなアクティビティが用意されていることもあります。短期留学であっても、旅行では出会えない人に出会え、貴重な体験ができます。
自分を見失いそうになっている社会人は、留学で学生に戻ってリフレッシュすると、初心にかえることができるかもしれません。充電もできるでしょう。留学で新たなやりたいことを見つける人もいます。留学は、帰国後の人生の糧になり、仕事の活力を生み出してくれるはずです。
留学の目的が、今の仕事のキャリアアップや、本場の国で勉強や資格を取得するためという人もいます。これまで挙げた中では一番目的が明確で、留学プランも立てやすくなります。はっきりした目的や目標があると、進むべき学校や教育機関、留学する時期や期間も定まってくるでしょう。
専門分野を学ぶための留学にもさまざまあって、短期研修のような留学もあります。しかしやはり専門技術の取得や、資格を取得する場合にはそれなりの期間が必要です。何を学びたいかにもよりますが、本場で学べる機会が得られるのであれば、時間に縛られず腰を据えてさまざまなものを吸収したいところです。留学前に授業についていけるだけの語学力を身につけるなどの事前準備をしておくと、留学先で時間を無駄にすることがありません。
音楽、絵画、ファッションや料理、人文学系などを学びたい人の留学先としては本場のヨーロッパが人気です。長年受け継がれ、磨き抜かれた技法や様式、哲学を一流の職人やマイスターからじっくり学べる喜びは留学でしか味わえないものでしょう。またそれらが培われた土壌に身を置くことで養われるものもあるはずです。
IT系や経済、工学、医学系などはアメリカ留学を希望する人が多いようです。
いずれの留学先にも本場の伝統技術や最先端の技術を学びに世界中から留学生が集まってきます。留学生の中には家族の期待を一身に背負い、人生を賭けて道を究めようとしている人も少なくありません。
そうした留学生たちの必死の姿勢や取り組み方を目の当たりにすることは、自分の姿勢を省みて、気持ちを奮い立たせるきっかけになるでしょう。他国の留学生たちと切磋琢磨して自分を磨くことができるのも留学の魅力です。
日本とはまったく違う環境でどこまでやっていけるか、自分の可能性を試したいと考えて留学を希望する人もいます。海外生活は言語や文化、習慣の違いで、住み慣れた日本よりもストレスや疲労が溜まりやすいものです。初めのうちは言葉が通じないかもしれません。ホームシックにかかる人もいるでしょう。
ある程度英語ができて、日本で外国人と接した経験もあり、留学に自信を持っている人こそ注意が必要です。英語の成績は良かったのに、現地で自分の英語が通じずに慌てた、という話はよくあります。また、国や地域によっては日本人やアジアの国に対する差別や偏見もあります。日本にいる外国人は日本が好きだったり、日本に興味を持っていたりする親日派が多いですが、留学先には必ずしもフレンドリーで陽気な人たちばかりがいるわけではありません。自信やプライドが揺らぐこともあるでしょう。
覚悟を決めて留学したとしても、言葉が通じない場所に一人でいるのは想像以上に辛いものです。しかし、助けが必要なときには、素直に助けを求めれば良いのです。何かを得ようと思ったら、カッコつけず、がむしゃらにつかみにいくことです。心が折れそうになったときに、どう対処していくか、どう我慢して乗り越えていくかで人は成長します。
困難を乗り越えた先には、一回り大きくなった、本物の自信とプライドを身につけた自分がいるでしょう。
せっかく費用をかけて留学する以上、何かしらの成果は得たいものです。そのためには、何のために留学するのか、たとえ小さな目的であっても目的や目標を設定したほうが良いでしょう。目的や目標があれば、達成するのに適した留学プランを組むことができます。
さらに、留学前に留学先で必要な準備や勉強をしておくことで、留学直後から授業に集中することもできます。留学期間や、留学にかかる費用、留学先、通う学校の選定などもしやすく、無駄に費用をかけることもありません。留学先で、こんなはずじゃなかった、などということのないようにしたいものです。
留学する学生が少ない時代は、留学経験が就活でのアピール材料になりました。しかし、最近では留学経験がある学生は珍しくありません。帰国後に就職活動をする際も、留学で何を学んだか、何をしてきたかを明確に話すことができなければ、留学は評価されない場合すらあるのです。せっかく留学したのだから、留学経験を仕事に活かしたい、と考える人もいるでしょう。その場合も、どんな経験を、就職先でどう活かしていきたいかを自分の言葉で伝えられるようにしておく必要があります。
グローバル企業などでの就活で、留学をアピールしたいのであれば、英語力がついたことだけでは弱いでしょう。留学しなくてもTOEICで高得点をマークする人はいますし、英語ばかりか数か国語が堪能な帰国子女は少なくありません。グローバル企業では英語はできて当たり前なので、英語力の他に、何か留学で身に付いたことをアピールできるようにしたいものです。
留学を、就活に有利な材料にするためにも、はっきりした目的を持つことが重要です。目的や目標を設定したら、達成するべく努力しましょう。
留学の目的は、人によってさまざまです。
どんな目的であっても、留学先では貴重な経験が得られ、たくさんの思い出や人との絆ができるでしょう。それらは長い人生において決して無駄にはならないはずです。
しかし、目的意識をはっきり持って留学すれば、得られるものはより大きくなります。せっかく時間と費用をかけて留学する以上、単なる楽しい思い出づくりではなく、大きなメリットが得られる留学にしたいものです。
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